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「正社員は特権階級」はいつまで続くか?

皆さんこんにちは。

先月2012年卒業予定大学生の10月1日現在の就職内定率が発表されました。
それによると内定率は59.9%と昨年よりは改善したものの、過去2番目の低さだそうです。

私は、これには企業を取り巻く市場の変化が大きく影響していると考えています。市場が変わればそれに併せて企業も変化しなくてはなりません。

そうすると、当然社員に求められるものも変わるのです。

そうなった場合、給与が高いけれど変化に対応できない社歴の長い社員がまずその洗礼を浴びるのが本来あるべき姿です。しかし実際には「正社員は特権階級」である日本ではその実現は難しく、そのしわ寄せが新卒採用に来ているのです。

新卒の内定率は低迷し、その中でも内定を複数取れる人材と全くとれない人材に二極化しています。それまでは気楽な生活を送ってきた彼らが、全く内定が取れずに受けるショックは、想像以上のものだと思います。

しかし、企業の内部でも正社員の既得権益を壊す動きも徐々に起こってきています。

これは言いかえれば、評価制度の大改革です。

学生の内定が一握りの人材に集中するように、社内で本当に評価される人材も極めて少数ですし、彼らはどこの部署、会社からも同じように求められます。企業の評価制度はこの少数の人材をいかに評価するか、という方向へ変わりつつあるのです。

それではこの一握りの人材と他の人材の違いはどこにあるのでしょうか。

それは「顧客の要求を先取りし、顧客の立場で解決策を考え、提案実行できるチカラ」の有無です。これは今の教育制度にない概念ですし、研修でも実際には行われていません。行われているとすれば、OJTの範囲でしょう。

実績や経験年数というこれまでの基準が崩壊し、この新基準にリセットされた時、日本の労働市場は大きな混乱と格差が生じるでしょう。しかし、それと同時に本物のエリートの台頭も見られるはずです。
日本企業がそのような状況を乗り越えれば、再び立ち上がることができるのではないでしょうか。

2011.12.08 樋口弘和

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