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不安定な時代に労働意欲を保ち続けるためには?

みなさんこんにちは。すっかり秋らしい気候になってきましたね。
9月の日銀短観では大企業製造業の業況判断指数が6期連続アップしたという報告があったものの、今後の経済見通しは悲観的なものでした。
また先日国税庁から発表された平成21年分民間給与実態統計調査結果によると全労働者の平均年収が昨年に比べ、5.5%も下がっています。
これは統計開始以来の落ち込みだそうです。

前回も申し上げましたが、日本企業には「雇用責任」という前提があります。ですから先の読めないこの時代、新しい人を雇ったり、毎年賃金を上げたりすることはそう簡単にはできない、というのも経営の観点からみればよく理解出来ます。

また現在起こっている賃金低下と就職難の傾向は円高とデフレ直撃が最大の要因ですので、一時的なものではなく、少なくとも10年は雇用環境が大きく改善することはないと私は見ています。

若い人たちは親の世代を見て「終身雇用は約束されたものではない」ことに気づいており、そもそも経済的繁栄やモノの所有に幸せを求めなくなりました。

そう考えると、若い人たちよりもむしろ一番苦しいのは40歳以上の経済的成功体験者かもしれません。

私も含む経済的成功体験世代は自己成長に喜びを見出しながら、時間をかけ一生懸命働いてきました。

しかし今の時代は自己成長と賃金アップが必ずしも結びつかず、これまでの考えが通用しない時代です。

ですから「がんばった甲斐があった」という達成感を賃金やポジションでは感じることができないことが多いのです。

このような時代にどうやって勤労意欲を保っていくのか、ということが大変重要なテーマになってきています。しかも、これはマネジメントと本人の双方で探していかなければなりません。

「心の幸せ」も大事だと思いますが、やはり経済的にもリードしているロールモデルを示すことも必要です。

今日の多くの経営者(人事担当役員)の最大の悩みはここにあるのではないでしょうか。

2010.10.07 樋口弘和

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