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「自己犠牲」で労働力は確保できるか?

皆さん、明けましておめでとうございます。東京は穏やかな天候が続く年末年始でしたが、皆様はいかがお過ごしでしたか?

さて、新春第一弾のコラムは「労働力の確保」をテーマに取り上げてみたいと思います。

新聞やニュースで、女性の労働力確保が国レベルでの政策テーマだと言われています。当社では、離職率5%を経営管理の指標としており、実際には2%から10%くらいの間で推移している状態です。
しかしこと出産後のお母さん社員に関しては、100%復職しているという不思議な会社です。もちろん時代による彼女たちの就労意識の変化もあるでしょうし、あるいは夫婦二人で働かざるをえない経済的事情もあるのかもしれません。しかしいずれにしても、女性社員が出産後当然のように復職を希望し、会社も当然のようにそれを受け入れているという点では中小企業として珍しいと言えるのではないでしょうか。

しかし、そんな弊社でもお母さん社員第1号が誕生した時は、戸惑うことばかりでした。
当時フルタイムで夜遅くまで働いてくれることが当然のような環境でしたので、急に方向転換をして子供のために生きる選択をした彼女が、仕事を途中で放り出すようでとても無責任に思えたものです。

この当時は、顧客と仕事への責任感と社員の自己犠牲をベースに会社が成り立っていました。ですから、当人が病気や育児で労働時間を制限せざるをえない場合の支援体制はほぼありませんでした。そのような状態に陥った場合は、上司や同僚がやはり犠牲を払ってカバーしていた、というのが実態だったのです。

しかし徐々にお母さん社員が増える中で、「労働時間の制限は、誰かの自己犠牲で埋め合わせるのではなく、仕組みで支援しなければモタナイ」ということがわかってきました。

仕組化を進め、個人の自己犠牲に頼る部分を極力減らしていくことの必要性に気づいたのです。
仕組み化を収益のために進める企業も多いですが、弊社の場合はお母さん社員を如何に受け入れて活躍してもらうか、を考える中で進めてきています。
いつまでも自己犠牲に頼っていては働きやすい環境を作ることはできません。
今後もこれを前提に従業員がイキイキと長く働ける会社にしていきたいと考えています。

2011.01.06 樋口弘和

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